「雲雀さん、」
「…何?」

ソファで(私の作ってきた)お弁当を食べていた雲雀さんは、私の呼びかけに振り向く。

「罪って、なんでしょうか」
「…どうしたの、行き成り」

つみ、ツミ、罪。人は生まれながらに罪を持っている、と言う人がいれば、本当の罪など存在しない、と言う人もいる。どっちが正しいか、なんてことを知る人間はきっと一人としていないのだろう。でも、それでも罪という言葉は存在して、今の世界に罪は存在している。

「んっとですね、ほら雲雀さんも知っての通り、私って雲雀さんのことが好きじゃないですか」
「当然でしょ」

いかにも当然そうに、当たり前のように。寧ろ違うほうがおかしいかのように、確認の意味さえないかのように、雲雀さんは言った。

「それでですね、私が雲雀さんのことを好きなのって、罪なんじゃないかなー、と」
「…なんで」
「だって雲雀さんは本当に凄い人なんですよ。凄くて、素敵で、格好良いんです。だから私みたいなのが好きになるのは、罪なんじゃないかな、と思いまして。」

それが一体どんな名前の罪なのかは知らないけど。私が貴方を愛することは、罪なのじゃないかと思う。雲雀さんは、凄いから。きっとこの世界の誰よりも。だから私は、それがどんなに罪であろうと貴方を愛してしまうのだろう。そして、それこそが、罪じゃないのかと。

「じゃあ僕がのことを好きなのも罪なわけ?」
「…雲雀さんは私のことを好きなんじゃなくて、ただ単に自分のものだ、って言ってませんでしたっけ?」
「嫌いなものを自分のものになんてするわけないでしょ」
「…うー。ずるいですよ、雲雀さん。行き成り笑うなんて反則じゃないですか」

本当に、ずるい。今まで一度も好きなんて、言ってくれなかったのに。僕のもの、って言葉だけでもすごく嬉しかったのに。なのに行き成りそんなこと言うなんて、ずるい。それもそんな綺麗な笑顔で。その笑顔がどのくらい私の心臓の音を高まらせるか、知っていて、やっているんですか、雲雀さん。

「…ねえ、
「何ですか?」
「罪には、罰が必要だよね?」
「…雲雀さんの言葉は疑問系に聞こえないのですが…」

確認、というか。確信しているというか。疑問系ではあるけど、疑問系じゃない。尋ねているけど、尋ねていない。そんな、矛盾している言い方。

「で、どうなわけ?」
「そりゃまあ、罪と罰はセットみたいなものかもしれませんけど」
「じゃあ、」

と、雲雀さんは今さっきの笑顔よりも、もっともっと綺麗に笑って、


の罪は僕を好きになったこと、罰はずっと僕だけを愛していること、だ」


ああやっぱり、例えそれが罪だとしても。愛してます、雲雀さん。



I LOVE YOUの

「じゃあ、雲雀さんも同じ罰を受けてくださいよ」「いらないよ、そんなの。僕はそんな罰がなくたってずっとを愛してあげるから」「…やっぱりずるいです、雲雀さん」







恋とリナリア様へ!
素敵企画に参加させていただきありがとうございました!