「ねぇ、そのかみどめどこで買ったの」
「買ったんじゃなくて貰ったの、隣に住んでるお兄ちゃんに」
「............」
「(やばい、怒ったかも)」

るんるん気分でお土産に貰ったかみどめをつけて学校に来たけど、それが間違いだった。
恭弥が怒るといつも黙り込む。それが私にのっての一番の恐怖。
いっつも他の男子と話したりするとこうなる。だから慣れっこだったはずなのに。

「..........」
「..........」


しばらく沈黙が続き、その沈黙に耐えられなくなったのか、恭弥がため息をついた。

「なんで僕以外の男からそんなの貰うの」
「だって、お土産っていってくれたんだよ?返すわけにもいかないでしょ?」
「...ふぅん、そう」
「!?」

いきなり恭弥の顔が近くに来た。少しでも動けばキスだってできそうなくらいの距離。
私はドキッとしながらも、冷静でいた。(と思う)

「なっ何する気.....?」
「そのかみどめ没収。そもそも学校にこんなもの持ってきていいと思ってるの?」
「なっ!ダメダメダメ!これ結構気に入ってるの!そんなこと絶対にダメ!」
「君の意見なんか聞き入れないよ」

そういって開いている手で私のかみどめを奪い取った。
こればかりは私も黙っていられなくなった。

「返して!返してってばぁ!!」
「君が今度一切僕以外の男と喋らないって誓ったらね」
「そんなの出来るかあぁ!返してぇっ!」
「じゃぁダメ」

意地悪!と憎まれ口を叩くと、だから?という顔で笑ってきた。
そしてかみどめにキスをした。(んなっ!!)

「なっななななな....!」
「もうその男から貰ったものじゃなくなったよ」
「でっでででっも...!!」
「今度は君にキスしてあげてもいいんだけど?」
「!!」
「してほしいんでしょ?」
「.........」
「(図星)誓えたらね」

いっつも恭弥は私の弱点を攻めてくる。だから嫌なんだ。
私は諦めのため息をつき、コクンと頷いた。

「いい子だね」

そういって唇に一つキスをおとした。
あぁ、だからやっぱり嫌いなんだ。


そう意地を張ってしまう私も嫌いなんだ。