アタシの名前を呼んで、よ。
Call my name
「〜…ねぇ、。聞いてるの?」
「…あ?」
「……その様子じゃ、聞いてないね。」
ハァ、と少し大きめの溜息を吐く恭弥。
え、なに、厭味の積もり?そんなに嫌だったわけ。
「、君、何考えてたの。今は風紀委員の説明してるでしょ。」
「え〜、だってさ、恭弥ってアタシの事名前で呼ばないな、と思って。」
「…………それだけ?」
「アタシにとっては大切な事なの。だって仮にもアタシ達…付き合ってる、んだよ。」
本当に君は…、そう言いたげな恭弥をジッと見つめる。
恭弥ってホント、綺麗だよね。女のアタシより綺麗なんじゃない?
そんな人から見ればクダラナイ事考えてた。
そしたら、恭弥が
「……、」
と小さくアタシの名を呼んだ。え、不意打ち?
「これで、十分でしょ…って?」
あぁ、如何しよう。きっと今のアタシは顔が真っ赤。
顔が、熱い。
何を考えたのか、恭弥がアタシの傍に来て、耳元で囁いた。
「。」
それだけでアタシは元々紅かった顔を更に紅くした。
クスクスと恭弥は小さく声をあげて笑った。そんなに、面白い、の?
「ほんと、は可愛いね。」
「なっ、行き成り何言っての!」
恭弥の馬鹿、小さく呟いたけど恭弥には聞こえてたみたいで。
「ふ〜ん、そう。そんな僕に名前を呼ばれただけで顔を真っ赤にしたのは誰?」
「・・・・・・・・・アタシ、です。」
本当に、口惜しい。
恭弥は簡単にアタシを堕とすんだ。
口惜しい、な。
「まぁ、そんな君の反応を見れるなら、名前で呼ぶのも良いかもしれないね。」
柔らかく笑む恭弥。あぁもう、本当、恭弥には負ける。
「、」
恭弥が小さくあたしの名前を呼び、そしてアタシの唇に ちゅ、 とキスをした。
触れるだけの、優しいキス。
「きょう、や。」
名前で呼ばれるのはまだ慣れないけれど、こういうのはキライじゃ、無い。
「、愛してるよ。」
普段甘い言葉を言わない彼が、アタシに甘い言葉を言った。
名前を呼んでくれた嬉しさと、ほんのり頬を染めた恭弥をみて、 幸せだな 、と思った。
Call my name
(名前を呼んでくれた喜びに、アタシは頬を緩める。)